歌人蓮月尼の釘刻茶碗です。祖母から頂いたものですが良さが分からず最近まで箱から取り出したこともあまりなく勿体ないことですが大がかりな片付けをして初めてしみじみ手に取り眺めてあら素晴らしい！と気が付いた次第です。蓮月が尼になるまで大変苦労し決して幸せな人生ではない中心の感じるままに和歌を詠み続けた歌人で有ることは知っておりましたが陶芸にも驚くほどの才能を開花させたことにあらためて感動致しました。祖母からもっと良く教えてもらっておけば良かったのですが文字に釉薬がかかっており上の句は何となくしか詠み下せません、下の句はおぼろ月夜のものかなしだと思います。茶碗の外の和歌にかかる白い釉薬の流れも清らかでまた茶碗中に大小様々に散り固まった釉薬の景色もとても素敵です。百年以上の年月を経てたおやかで清らかな歌人の茶碗が私の手元に有ること、また歳を重ねた今この茶碗にあらためて出会い理解出来たことは幸福だったと思います。ただ残念なことに私の代限りで受け継ぐものもおりませんので大切にしてくださる方に是非と思い出品致しました。