不運な人々 カール・Th・ドライヤー コレクション クリティカル・エディション ディスカウント

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精緻をきわめた舞台装置 亡命ロシア人舞台俳優たちとの協働
両大戦間期、故国を離れベルリンに降り立ったドライヤーが独創的なリアリズムで描ききった20世紀初頭のユダヤ人の悲劇——

デンマークの作家オーエ・マーゼリングが1912年に発表した小説「互いに愛せよ」は、19世紀末から20世紀の初めにかけてロシアに滞在していたこの作家が実際に自分の目で見た出来事を小説化したもので、デンマーク語からドイツ語やその他の言語にも翻訳され、多くの読者を得た。ドライヤーの「不運な人々」はこのユダヤ人虐殺を非常にリアルに描いた小説をかなり忠実に映画化している。
1905年前後のロシアが舞台となる。主人公ハンネ=リーベはドニエプル河に面したロシアの小さな村に生まれ育つ。小さな頃よりユダヤ教を信仰する自分の家庭が、ロシア正教のキリスト教信者たちとは違っていることを意識しながら育った彼女は、女学校を卒業する前にある陰謀に巻き込まれ、退学せざるを得なくなる。彼女は、キリスト教に改宗して家からは勘当されたが、今や有名な弁護士としてペテルブルグで生活している兄のもとに身を寄せる。ハンネ=リーベはここで、郷里にいた頃からの男友達サーシャと再会するが、彼は秘密警察に雇われている煽動者リロヴィッチにけしかけられ、革命運動をしたかどで警察に逮捕され、ハンネ=リーベも郷里の村に送り返される。リロヴィッチは僧侶に化け、ハンネ=リーベの住む村で反ユダヤ主義を唱え、ロシア人の住民を煽動する。ロシア史に悪名高きユダヤ人虐殺が始まる。多くのユダヤ人が犠牲になる。ハンネ=リーベは危害が加えられる寸前のところでサーシャに救われる。
ドライヤーはこの作品の中でリアリズムの手法を採用する。それは彼のほかの作品にはあまり見られないような種類のリアリズムで、ユダヤ人たちの生活がそれによって再現されている。ソヴィエトの無声映画を見慣れたものならば、こうしたリアリズムはさして珍しくないように見えるかも知れない。しかしこの映画の製作が1921年であったという事実は、この映画が当時としては前例のないような手法をとっていたということを明らかにする。すなわち、よく知られているソヴィエト映画はまだほとんど生まれていない時代なのだ。1920年から1921年にかけてもソヴィエトでは劇映画も僅かに製作されていたが、それらが外国で上映されることはこの時期にはなかった。そうした事実を考慮すると、この作品のドライヤーのとったリアリズムの手法は全く独創的なものであったことがわかるだろう。ドライヤーと舞台装置家のイェンス・G・リンはポーランドのルブリンに出かけ実際のユダヤ人居住地をつぶさに観察し、それに基づき、ベルリンに戻って完璧な南ロシアのユダヤ人居住地を再現した。出演者の多くはロシア革命でドイツに逃れてきたロシアの舞台俳優たちであり、その他、特徴的な表情をした多くの素人を映画の中の名もない人物としてドライヤーは使用している。
※ケースにスレキズとヨゴレがあります ※再生動作、問題ありません ※品ですので、美品をお求めの方はご遠慮下さい

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